気づけば、蘇芳の海に寝ていた。 朦朧とする意識の中で、ヒバリの声だけがやけにはっきりと響く。 「ねえ、もう終わり?」 「そうね」 「キミはこんなものじゃないでしょ」 「ヒバリは私のことを買いかぶりすぎだわ」 「起きなよ」 「嫌よ。あなたのせいで全身痛いし、もう目も霞んできてるの」 「起きなってば」 「無茶言わないで頂戴」 ああ。 もう目が閉じているのか、開いているのかも分からない。 視界が暗い。 ヒバリの姿も、もう見えない。 「最後に情報を吐いてもらわないと困るんだけど」 「一生困ればいいわ」 「咬み殺すよ」 「お好きにどうぞ」 ヒバリ、残念ね。死体は口をきかないわ。 私の亡骸を見て、悔しさに顔をゆがめれば良い。 そうやって、あなたの人生の汚点になれるのなら。 蘇芳は溶けて透となる (2008.11.08/ボンゴレを裏切ったキミに捧ぐ、蘇芳の海) |