外の光を知る者は皆、ここは闇だという。 私にはあなたの顔も表情も、髪の色さえもはっきりわかるのに。 ああ、私は光を知らない。 「さん」 「綱吉、君」 「こんにちは」 「珍しいね。キミがこんなところに来るなんて」 「たまには世界を回らないとね」 「何か用事があるんでしょう?」 「あはは、やっぱりバレちゃうか」 「そうでなきゃ、こんなところ来ないよ」 「実はさんにお願いがあったんだ」 「お願い?」 「すごく重要な任務」 「任務?」 「そう。本当に大事な任務なんだ」 「そんなもの私に任せない方が良いんじゃない」 「さんじゃなきゃできない」 「私じゃなきゃ、」 さあ、闇の女王よ。 私を止めてみせるが良い。 駒は揃い、歯車が動き出す。 開演のベルはもう止まらない。 (2008/12/05 闇より開く、開演の扉) |