ラグナロク、 それは世界の終焉をさす言葉。 ラグナロク、 それは神々の黄昏をさす言葉。 ラグナロク、それは、 「ラグナロクのことなら、知ってる」 「それがもうすぐやってくるんだ」 「そう」 「俺は、世界を守るものとしてこれを止めなきゃいけない」 「ラグナロクは止められないよ」 「そういうことになってるね」 「何か、策があるの?」 「邪神ロキを捕まえる」 「邪神、ロキ?」 「ラグナロクを引き起こす原因とされている者」 「邪神ってことは、神様なんだよね」 「そう。何食わぬ顔をしてこの世界に紛れ込んでる」 「その人を見つければ世界の終焉は止まるの?」 「可能性、ってだけだけど。もしかしたら止まらないかもしれない」 「ツナ君はその可能性に賭けるんだ」 「俺はこの世界を守りたいんだ。一人の存在として、ね」 ツナ君が言う「世界」は、どんなものなのだろうか。 私にとっての世界は、あの暗闇。 光の届かない、地下。 死者しか集うことのない、ヘル。 ツナ君が守りたい世界は、私の知らない世界。 私が知っている世界は、到底守るべきものには感じられない。 なんだか、すっと胸に冷たい塊が落ちる感覚がした。 「邪神ロキを捕まえるのが私の任務?」 「うん。さんにしか出来ない」 「でも、他にも世界神はいるじゃない」 「他の人じゃダメなんだ」 「何で?」 「邪神ロキは、世界神の中にいるから」 (2009/02/18 その手で引きずり出してくれ) |