シゲちゃんと翼君は、ショックを引きずる私を憐れみの目で見ていた。 憐れむなら、そのやたら整った顔で女の子2,3人引っかけてきてよ。 「ねえ、」 「何?」 「もう1人の女の子は知り合いなんだよね?」 「そうだけど」 「学校ついたら、すぐ紹介して」 「心配せんでも会わせたるって」 「本当、頼むよ・・・」 はあ、と本日何度目か分からない溜息を吐き出す。 幸せなんてとうに底をついているのだから、関係ない。 「ほら、もうすぐ着くよ」 「あれがホグワーツやで」 2人の視線の先に、同じように目を向ける。 そこに見えるのは森にたたずむ大きな大きなお屋敷で。 「あれ、学校なの?」 「まあ本校よりは小さいけどな」 「イギリスにあるどっかの屋敷を持ってきたんだって」 「持ってきた?」 「そりゃ、魔法で」 「・・・ありえない」 「魔法使いの卵がよく言うよ」 「もしかして、ちゃんマグルなん?」 「マグル?」 「みたいだね」 「何、それ」 「非魔法使いの家庭から生まれた人をそう呼ぶんやで」 「2人は違うの?」 「僕らは純血」 「おとんもおかんも魔法使い」 「へえ。なんか、」 「何?」 「魔法使いにもセレブとか庶民とかあるんだね」 「別に金持ちちゃうで?」 へらりと笑うシゲちゃんから視線を外し、雰囲気に流す。 言いかけた言葉を、もう一度胸の中で繰り返してみる。 『なんか、見下した言い方だね』 私がマグルだと分かったとき、シゲちゃんの目は急速に冷えた。 そう見えた。 だけど私は、見て見ぬフリをする。 だって、そんなの どうでもいい (2008/07/18) |