一緒に歩いてはいるけれど、歩調は合わない。 否、シゲちゃんは合わせようとしない。 このやろう、フェミニズムというものがないのか。 「蹴ったらアカンよ」 「未遂です」 「怖っ。あとちょっとで俺の背中にクリーンヒットやな」 「あと2秒遅かったら届いたのに」 「そりゃ助かった」 浮いた右足を地面に戻して、のらりくらりと進む。 嫌味交じりに追い越してやろうかとも思ったけれど、 今度は私が蹴られるかもしれないからやめておいた。 駅から学校までは、そう遠くなかった。 やはり私たちが一番最後のようで、 門をくぐると大きな扉がバタンと大きな音をたてて閉まった。 「ビビってやんの」 「うるさい」 「こっちは何でも全自動と思った方がええよ」 「それは便利ですこと」 「まあ、な」 帰路は断たれた。 目の前に広がるのは、赤い絨毯とシャンデリア。 それに、先の見えぬ未来。 (2008/07/20) |