あの余計な一言のせいで、ぐっと喉が鳴った。 情けないことに、指先は少し震えている。 ああ、どうしよう。 したくもない緊張させやがって! 「次、」 何回聞いても不快ではない、透きとおる声。 声の主に促されて、私は部屋の中央にある帽子をかぶった。 緊張で軋む体を、誰にも悟られないように。 儂は、バーレア。お主を組分けに導くもの。 は、初めまして! です。 さて、どちらの寮にしたものか。 あの、ひとつお聞きしたいんですが。 何かな? 生徒の中でマグルなのって私だけなんですか? ふむ。確かに今年はお主だけのようだな。 そう、ですか。 残念だが、マグル出身者を嫌う者が多いのは事実だ。 やっぱり、多いんですね。 しかし、お主ほどの技量なら隠し通すこともできる。 隠し通す・・・。 だが、お主はもう孤独ではないのだろう? シゲちゃんと、椎名君のこと? そなたの行動によっては、学校全体が拠り所になるやもしれん。 それは、ずいぶん大変そう。 それでもお主なら出来るだろう。 買いかぶりすぎですよ。 さて、どうだろうな。おや、少々話しすぎたか。 『レイブンクロー!』 何かを突き刺すような鋭い声が、私の耳を貫く。 そうか、レイブンクローになったのか。 向こうを見れば、シゲちゃんと翼君が手を振っているのが見えた。 (2009.01.17) |