若菜クンの観察日記をつけてみようと思う。

断じて、若菜クンに恋しちゃってるわけではない。

いつも腰パンすぎてパンツが丸見えな若菜クンが、

実は「輝け青春」よろしくなサッカー少年だと知って興味がわいた。

断じて、若菜クンに恋しちゃってるわけではない。

断じて。
































○月×日 晴れ


若菜クンは今日も遅刻してきた。

しかも手ぶら。

これには温和で有名なうちのクラスの担任も、さすがにため息だ。




「若菜。空でもいいから、せめて鞄くらい持ってこい」

「いやー。オレ、箸より重いもん持てない!」



うそつけ、スポーツ少年。

あいかわらずふざけた男だ。

ほらまた、パンツ見えてますよお兄さん。
































○月×日 晴れのちくもり


今日の体育は、男女ともサッカー。

言わずもがな若菜クンはクラスの誰よりも輝いていた。

うっかりカッコイイ・・・だなんて、思ってない。



、サッカーうまくね?」

「え、あ、そ、そうっすか!」

「ぎゃはは!! 何だソレ、後輩かよ!」


・・・つっこまれた、不覚。































○月×日 くもり


若菜クン、お休み。
































○月×日 くもり


またまた、若菜クンお休み。

担任に聞いたら、試合だって。

































○月×日 晴れ


やっと来たと思ったら、また遅刻。

試合じゃない日くらいちゃんと来いよ、少年。

でも今日は鞄を持ってきていた。


ただ、あのぺしゃんこ具合からして中身は入ってなさそうだ。



、おはよー」

「お、おはよう」

「また遅刻しちゃった」

「あの、さ。あんまり遅刻しない方がいいと思うよ、うん」





なに説教してんだ、あたし。

まったくもって可愛くない女だ。
































○月×日 雲ひとつない快晴


教室に入ったら、若菜クンが座ってた。

あまりにビックリしてカバンを落とすところだった。

危ない、危ない。




「うはは、変な顔!」

「な、なんで、こんな時間にいるの!?」

「だってが遅刻すんなって言うから」

「は?」

「オレさー、の言うことなら素直に聞けるんだよね」

「あ、え、」

「やっぱお前、特別なの」























おいおい。

それは、どう解釈したら良いんだ。

自分のいいように理解しちゃうぞ、もう。

だって、


















                  期待せずにはいられない
                   (だって若菜クンの顔も赤い)









(2008.06.20)